コウノトリブログ

コウノトリKIDSクラブ第15期 ⑤環境DNA調査

今年も南三陸町の「南三陸少年少女自然調査隊」、青森県むつ市の「脇野沢小学校」とオンライン交流会を行いました。2022年度から実施しており、今回で4回目となりました。

1.環境DNA調査

環境DNAとは、生きものが水中や大気中に出した体の一部(皮ふや排泄物)に含まれているDNAのことです。そのため、水や空気を採取し解析することでそこにどんな生きものがいるかを調べることができます。
豊岡では10月初旬に「大浦湾」「ハチゴロウの戸島湿地」「出石川」の3か所で採水(DNAの採取)しました。それぞれの場所には、海、汽水域、大規模湿地沿いの河川という特徴があります。
採集したサンプルは南三陸ネイチャーセンターに輸送してDNAの抽出、解析をしていただきました。検出された魚種数や推移については下の図表のとおり。

解析結果
2025年に検出された魚種数

多くの種はその環境特有の種でしたが、例年同様、陸奥湾特有の種は一番少なかったです。これは、対馬海流、親潮、黒潮という3つの海流と、豊岡から志津川湾(南三陸)までの海のルートの間に志津川湾(むつ市)が位置することが影響しています。

解析結果
検出された魚種数の推移

また、全体的な魚種数が昨年、一昨年に比べて大きく減少しました。これは、過去2年間の海水温がとても暖かかったのに対し、今年は水温が下がっていることが要因の1つとして考えられるとのことです。過去2年は、暖かい海流によって北上してくる南方の魚種が多かったですが、今年は少なかったため全体の種数が減少しました。

「海流」について〈南三陸ネイチャーセンター豆知識〉

1. 海流のしくみ
海流が生まれる主な原因は、一定方向に吹く風(貿易風・偏西風)と、太陽による海水の温度差です。そこに地球の自転や地形が複雑に絡み合うため、流れを予測するのは非常に難しいです。そして、日本近海には大きく分けて暖流(暖かい流れ)寒流(冷たい流れ)が流れています。

2. 生き物の「交差点」
東北の三陸沖のように寒流と暖流が混ざる海域は、プランクトンのエサとなる栄養が多く、南北両方から多くの生き物がやってくるため、世界屈指の漁場であり、生物多様性のスポットでもあります。また、環境変化の大きい場所は生き物の進化を促すため、長い目で見れば新しい種類が生まれるかもしれないという利点があります。

2.オンライン交流会

交流会では、各地で検出された特徴的な魚について調べ、互いに紹介しあいました。南三陸、脇野沢小学校みんなは、魚の特徴を捉えた絵や標本を使い、カメラを通してわかりやすく説明してくれました。KIDSクラブのメンバーも、図鑑などで調べ、色やヒレの形、生態などの特徴を捉えた調査表を作成しました。カメラ前での発表は緊張していたようですが、他地域の子達にしっかり伝えることができました。

豊岡の調査表
コウノトリKIDSクラブメンバーが作成した調査表
交流会
交流会のようす

最後に、南三陸ネイチャーセンターの博士から調査結果に関する解説がありました。昨年度までの魚種の多さは、地球温暖化による緩やかな海水温の上昇が原因の一つとされていましたが、今回の種数の減少は、海流の動きにより海水温が上昇しなかったことが大きな要因として考えられるとのことです。地球温暖化は緩やかな変化を生き物にあたえますが、海流による生き物への影響は短いスパンで表れるとのことなので、長期的な変化を捉えるためには、調査を継続していくことが大事になります。来年はどんな結果が見られるか楽しみです。

脇野沢小学校、南三陸少年少女自然調査隊と南三陸ネイチャーセンターの皆さん、ありがとうございました。

2022年度~2024年度の様子は、下部のリンクからご覧ください。

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