コウノトリブログ

コウノトリ普及推進員のブログ㉜ コウノトリの季節便り ~冬の終わりと春の始まり~ コウノトリビア 《コウノトリの冬の寒さ対策:ワンダーネット》

今年の冬は全国的に非常に厳しい寒さと大雪に見舞われ、特に東北や北陸では記録的な積雪が観測されています。
豊岡でも週末ごとに寒波が到来し積雪が50cmを超え、雪かきで汗を流す状況が続いています。
28日にはシーズン最強の寒波が到来し、兵庫県立コウノトリの郷公園では積雪が約78cmに達しました。

2月8日 兵庫県立コウノトリの郷公園の積雪が78cmに到達!! 写真提供:豊岡市立コウノトリ文化館

昨年、野外コウノトリで全国で最も早い産卵は、1月下旬に兵庫県稲美町で確認されました。
また、豊岡での最も早い産卵は、3月上旬でした。
今年は厳しい寒さの影響なのか、昨年より2週間ほど遅れて、2月12日頃に兵庫県稲美町で産卵したようだと便りが届きました。
交尾や巣づくりをはじめてから産卵まで約1か月かかることから、豊岡でもそろそろ繁殖行動が見られる時期となりました。
26日と9日、豊岡市内の複数の人工巣塔(以下「巣塔」)を巡ったところ、戸島(城崎町)、伊豆(出石町)の巣塔では交尾などの繁殖行動が見られ、今シーズンの繁殖がスタートしたと感じられました。

《祥雲寺巣塔》
祥雲寺巣塔は、豊岡市立コウノトリ文化館の情報によると、ペアの在巣時間(巣に滞在する時間)も増え、繁殖期が近づいているとのことでした。

2月6日 祥雲寺巣塔の様子 巣塔には祥雲寺ペアのメスJ0273 写真提供:コウノトリ市民研究所
《戸島巣塔と戸島地区巣塔》
戸島巣塔(豊岡市立ハチゴロウの戸島湿地内)と戸島地区巣塔(戸島区内)ではペアが在巣し、交尾行動を確認しました。
この2つの巣塔は日本で最も巣塔間の距離が近く、わずか265mしか離れていません。

2月9日 交尾の様子 左:戸島巣塔 右:戸島地区巣塔  写真提供:コウノトリ市民科学
《伊豆巣塔》
伊豆巣塔でも交尾行動が確認でき、繁殖に向けて少しずつ進んでいる様子が見られ、嬉しく思いました。
しかし、写真で個体を確認するとJ0248(オス、2019年生まれ)とJ0014(メス、2009年生まれ)で、どちらも戸島巣塔生まれの個体です。
兵庫県立コウノトリの郷公園では近親婚での繁殖を防ぐための対策が取られており、今後も注意深く繁殖状況を観察していくことが重要です。

2月6日 伊豆巣塔の様子 右写真:J0248とJ0014
これから気温は上昇傾向にあり、春の訪れとともにコウノトリの繁殖が本格化する見込みです。
厳しい冬を無事に乗り越え、今年も豊岡のコウノトリが元気に繁殖活動を進めていくことを期待しています。

-Stork trivia- コウノトリビア
《コウノトリの冬の寒さ対策:ワンダーネット》
皆さんは寒さで指先がしもやけになった経験はありませんか?
寒い時は、体温低下を防ぐために末端の血管が収縮し、急激に温まると血液の流れが悪くなり、しもやけなどの症状が現れます。
でも、不思議に思いませんか?
なぜコウノトリは、雪の上に裸足で立っていても“しもやけ”にならないのでしょうか?
また、冬でも冷たい川や池に浮かんでいるカモたちも平気なのでしょうか?

実は、鳥の足は「ワンダーネット」と呼ばれる、体温を逃がさない特殊な血管構造となっています。
足には心臓から流れてくる温かい動脈と、心臓へ戻る冷たい静脈があり、動脈と静脈が網目状に絡み合って「熱交換装置」の機能を果たしています。
これによって動脈の熱が静脈に伝わり、冷えた血液が温められるため、体の芯部を冷やさない仕組みになっています。
また、足に流れる動脈も熱を奪われ温度が下がるために、外気温との温度差が少なくなり”しもやけ”にならないとされています。
夏にコウノトリを捕獲して足を触ると、それほど温かくないことが分かり、「ワンダーネット」の仕組みが体感できます。
一方で、体の内部の熱を下げにくい構造のため、夏場の暑さ対策はとても大変です。

暑さ対策は、「元飼育員のコウノトリブログ④【豆知識】コウノトリは汗をかくの?」に書いていますのでご覧ください。

私が飼育員として働き始めた頃、「ワンダーネット」のことを知らず、飼育室に雪が積もると、足が冷たくてコウノトリが”かわいそう”と思い、雪かきをしていました。
今振り返ると、あまり意味のないことだったかもしれません。しかし、雪を取り除いたところにコウノトリがたたずんでいることがよくあったので、コウノトリ達は私の気持ちをわかってくれていたのかもしれませんね。

 

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