田んぼや水路で見かけるアメリカザリガニ。子どもたちにとっては、ザリガニ釣りや魚採りで捕まえたりと、楽しい遊び相手です。一方で、田んぼの畦に穴をあけてしまう厄介者でもあります。
私たちの身近なところに棲んでいるアメリカザリガニですが、実は「”条件付”特定外来生物」というものに指定されており、取り扱いが法律によって規制されています。この記事では、そんなアメリカザリガニについて詳しく見ていこうと思います。

▶アメリカザリガニの特徴
その名の通り、原産地は北アメリカです。ハサミが大きく、成熟すると赤くなります。田んぼや湿地、農業用水路などに生息しています。雑食性で、水草や小魚、水生昆虫やオタマジャクシなど様々なものを食べます。繁殖期は春から秋で、1回に200~1000個もの卵を産みます。水質汚染に強く、高水温、低酸素状態にも耐えられるため、汚れのひどい水でも生息、繁殖が可能で、ドブのような場所で見かけることもあります。大きさは、大きいもので15センチ程度になり、寿命は4~5年です。
▶なぜ日本に入ってきた?
アメリカザリガニが日本へ持ち込まれたのは1927年(昭和2年)です。当時アメリカ原産の外来種である「ウシガエル」を食用として養殖することが始まり、そのエサとして輸入されました。その後、逃げ出した個体などが全国に広がりました。
▶豊岡市には二ホンザリガニもすんでいる?
豊岡市内では、アメリカザリガニより小さくて茶色いザリガニを見かけます。このザリガニは「ニホンザリガニ」と呼ばれることがあり、私も子どもの頃はそう呼んでいました。
しかし、これはニホンザリガニではなく、若いアメリカザリガニです。実は、豊岡市を含めた近畿地方には、ニホンザリガニは分布していません。ニホンザリガニは北海道と東北地方のみに分布しており、それも田んぼなどではなく、山奥の水の冷たい渓流や湖沼に生息しています。よって、豊岡市内で見かけるザリガニは、全てアメリカザリガニです。


▶アメリカザリガニがいると困ること
雑食性で様々な水生生物を食べるため、大きな影響が出ます。アメリカザリガニが新たに侵入した場所では、そこに生息する水生生物が、種数、個体数がともに大幅に減少した事例が多くあります。最近の研究では、カエル類の卵やオタマジャクシをよく食べることが確認され、カエル類減少の原因の一つであることがわかってきました。
また、水草の芽をハサミで切ってしまう習性があります。水草は水生昆虫や小魚の隠れ家になったり、水質を浄化したりする作用があります。アメリカザリガニによって水草が無くなってしまい、水生生物が激減したり、水質が悪化した場所もあります。
一方で、対策としてアメリカザリガニの捕獲を続けた場所では、水生生物が劇的に回復したという事例もあります。
▶野外へ放さないようにしましょう
子どもたちにとって自然の中での遊び相手である一方、地域の生態系を脅かす「特定外来生物」でもあるアメリカザリガニ。この身近な生きものをどう扱うべきなのでしょうか。
冒頭でも述べたように、アメリカザリガニは「“条件付”特定外来生物」に指定されており、これは、ブラックバスやウシガエルなどの「特定外来生物」とは規制の内容が異なります。
アメリカザリガニで規制されているのは、頒布(広く配ること)や販売と、そのために移動させること、放出することです。そのため、捕獲したものを持ち帰るなどし、ペットとして飼育することはできます。ただし、それを再び放すと違法になります。飼育する際は、そのザリガニが天寿を全うするまで、絶対に飼育し続けなければなりません。
詳しくは、環境省のホームページ「日本の外来種対策」をご覧ください。
▶ペットは最期まで
これはアメリカザリガニに限ったことではなく、ペットを飼う際は、必ず天寿を全うするまで飼い続けるという強い意志が必要です。現在、問題となっている外来種の中には、飼いきれなくなって野外に放されたペットが定着してしまったケースもあります。
ペットは必ず最期まで世話をするという心がけが、更なる外来種問題を防ぐことにも繋がります。
(写真・文 NPO法人コウノトリ市民研究所 北垣 和也)