コウノトリブログ

コウノトリを支える湿地 ラムサール条約湿地「円山川下流域・周辺水田」

豊岡市内を流れる円山川は、とても穏やかに流れてゆきます。流域には河畔林やヨシ原が広がっており、多くの鳥類が集まります。流れが穏やかな反面、水はけの悪さから洪水や冠水も生じやすく、周辺に広がる水田なども氾濫原となっていました。そんな円山川の下流域と周辺水田は、2012年にラムサール条約に登録されました。

ラムサール条約とは国際的に重要な湿地を守るための国際条約です。日本では北海道の釧路湿原や滋賀県の琵琶湖など、52カ所の湿地が登録されています。
「円山川下流域・周辺水田」がラムサール条約に登録されたのは、行政、市民、企業や団体など、多くの方が関わりながら、湿地の生態系を保全・再生し、コウノトリと共に生きるための活動を行ってきたからです。

主な【ラムサールスポット】をいくつか紹介します。
【円山川】では、治水対策と併せて、河川敷に多くの浅瀬を作ることで、コウノトリが飛来しやすい環境を整備するなどの取組みが行われています。
コウノトリの飛来をきっかけに、田結区の住民が中心となり、休耕田を湿地として保全・再生されている【田結(たい)湿地】。湿地内ではメダカやアカガエルなど、たくさんの生きものが生息していて、子どもたちの環境学習の場にもなっています。
大陸から飛来した野生コウノトリのハチゴロウが好んだ湿田を湿地として整備した【ハチゴロウの戸島湿地】は、淡水域と、海水が入り込む汽水域の2タイプの湿地があり、多くの魚類が生息しています。湿地内の人工巣塔では、2008年から毎年コウノトリが繁殖しています。

2018年には、冬期にコハクチョウやカモ類が越冬場として利用する百合地(ゆるじ)や伊豆(いず)の【水田】、国土交通省により多様な環境が作り出された【加陽(かや)湿地】などが、拡張登録されました。
コウノトリの生息を支えるラムサールエリアには、様々な湿地があり、たくさんの生きものが生息しています。季節によって観察できる生きものも変わります。ぜひ、生きもの豊かなラムサールスポットを訪ねてみてください!

2020年11月
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