フジバカマとアサギマダラ
豊岡市加陽にある加陽水辺公園では、地域の方々と一緒になってフジバカマの保護活動を行っています。フジバカマとは河原などの湿った場所に生育し、8月から10月にかけて花を咲かせる植物で、「秋の七草」の一つです。環境省レッドリストでは準絶滅危惧、兵庫県レッドデータブックではAランクに選定されています。
円山川下流域にあったフジバカマの唯一の自生地が治水事業に伴う護岸工事により、失われてしまうことになり、保護するため、2017年に加陽湿地に移植されました。
このフジバカマの蜜を求めて、ひらひら舞い降りるのがアサギマダラです。体長6cm程度、薄い藍色(あさぎ色)の羽がとても美しいチョウで、日本全土、標高の高い山地に生息しています。アサギマダラは秋から冬にかけ日本から南西諸島へ「渡り」を行い、春には北上してくることが知られています。
アサギマダラは時折、羽に文字の書いてある個体が見つかることもあります。移動距離を調べるために羽に文字を書いているのです。中には和歌山県から香港まで、2000km以上移動した個体も見つかっています。もしかすると、コウノトリよりも移動範囲が広いのかもしれません。
10月3日、加陽湿地でフジバカマの観察会が行われ、約40人の方が参加されました。観察会では、今年の春に移植した100株のフジバカマもきれいに咲き、8匹のアサギマダラが確認できました。
今後もフジバカマを保護し、アサギマダラが訪れる場所をつくっていきます。