「ミズトラノオ」は、シソ科の多年草です。
水面下を匍匐(ほふく)する茎で広がります。
茎の先端の4~5cmに、紫色のとてもかわいらしい穂状の花序(かじょ:小さな花がたくさん咲いている)をつけます。
ミズトラノオは、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている貴重な植物です。
豊岡市内の上郷にあるビオトープでは、群生しているミズトラノオが満開となっています。
上郷のビオトープは、豊岡市が地元の方に休耕田等を活用してコウノトリの餌場として管理委託しているビオトープの一つです。
豊岡市では、もともとビオトープの上にあるため池で自生していた“ミズトラノオ”を希少種保全事業「ノアの方舟」で植生保護柵を設置して保全していました。
この保全していたミズトラノオが下流に位置するビオトープに広がったと思われます。
ビオトープの環境が、ミズトラノオの生育条件に合い、年々自生する面積を増やしています。
豊岡市立コウノトリ文化館の副館長で県生物学会但馬支部長の菅村 定昌さんは次のように話されていました。
「ミズトラノオがこれほど群生しているのは、兵庫県下でここだけと思われます。これまで保全に取り組んできた成果と考えます。」
【豊岡市の希少種保全事業】「ノアの方舟」
「ノアの方舟」事業は、「豊岡市生物多様性戦略」の中で目標としている「希少になった生き物や生態系に、個別の保護対策が進められています」を達成するため、2014 年から始めた事業です。選定した複数の箇所に植生保護柵を設置してモニタリング調査を行っています。
選定箇所は、希少植物だけでなく、チョウの食草の保護を目的とした柵などが含まれるなどユニークな植生保護の取り組みです。