コウノトリブログ

コウノトリ普及推進員のブログ㉑ 猛暑の中での子育て

とても暑い夏を迎えていますが、みなさん、いかがお過ごしですか。
豊岡では、727日の最高気温が39.3度と全国一を記録するなど、連日猛暑日が続いています。
こんな暑さの中ですが、コウノトリの親鳥は子育てを頑張っています。また、ヒナ達も暑さに負けずスクスクと育っています。
7月28日現在、但馬地域(兵庫県北部)では、で豊岡市、朝来市、新温泉町の3カ所の人工巣塔でヒナが成育しています。

コウノトリは暑さには強いですか?と尋ねられることがあります。
野生コウノトリは、ロシア・アムール川流域で繁殖しています。この時期のアムール川流域は、最高気温28度前後です。
「コウノトリは、比較的涼しい地域で繁殖しているので、暑さは苦手と思います」と答えていましたが、日本の“暑い夏”でも繁殖できることから、“暑さに耐えられる鳥”と返答するのが正しいのかもしれません。

コウノトリが繁殖している人工巣塔の多くは、山から少し離れた平地に立てられています。そのため、巣塔は日陰になることが少なく、強い日射しに耐えながらの親鳥の子育てとヒナの成長となります。
親鳥は、この暑い時期①ヒナに日陰を作る ②ヒナに水を与える・かけるなどの行動が見られます。

①羽を少し広げてヒナに日陰を作っている
②親鳥は、巣塔下で水を飲み、すぐに巣へ帰りヒナに水を与えています  下の「親鳥の餌を与えている様子の写真」と違い、ヒナに水を与える場合は、ヒナが首を伸ばし水を飲むように、クチバシが高い位置で水を吐き出しています                 7月28日 朝来市久田和人工巣塔  写真提供:但馬新聞

コウノトリは、人のように汗をかきません。そのため、開口呼吸(過去のブログリンク)で体温上昇を抑えています。ヒナは、開口呼吸と太陽に背を向けながら、暑さに耐え巣立ちに向け頑張っています。豊岡市城崎町戸島地区内には、「ハチゴロウの戸島湿地」にある人工巣塔とは別の人工巣塔(以下 戸島地区巣塔)がたてられています。「ハチゴロウの戸島湿地」にある人工巣塔とは、巣塔間の距離が約260mしか離れていない日本一近い繁殖場所です。
戸島地区巣塔は、今年初めて繁殖に使われ、610日ふ化推定され、その後、3羽のヒナが育っています。
725日、ヒナに足環が装着(ふ化後45日)され、巣立ちまで約3週間となりました。

太陽に背を向け暑さに耐えているヒナ 7月30日 戸島地区巣塔 写真提供:日本コウノトリの会

日頃からこの2カ所の人工巣塔を温かく見守っている「ハチゴロウの戸島湿地」の永瀬さんと村田さんに、7月28日、戸島地区巣塔の様子についてお話を伺いました。
「親鳥は、午前中ヒナに水を与える場面を見かけますが、午後は不在の時が多く、ヒナが太陽に背を向け暑さに耐えている様子を見ると、親鳥が早く帰巣しないかヤキモキしながら見守っています。先日、足環装着の際に3羽のヒナの体重が計測されましたが、それぞれ、4.7kg4.5kg4.0kgと3羽とも4kgを超え大きく成長していることに驚きました。親鳥は、この暑い中、ヒナのために一所懸命採餌しているのだと感心しました。暑い中なので、午後にもう少しヒナに水を与えてほしいと思いますが、人の思い通りにはなりませんね」

親鳥がエサを与えヒナが食べている様子  7月28日 戸島地区巣塔 写真提供:日本コウノトリの会

私は、飼育員の時に足環装着でヒナの体重測定をしていましたが、4.7kgのヒナは、確かに大きく育っています。ヒナの体重は、親鳥が与える餌量に影響されることを考えると、親鳥の頑張りが良くわかります。
まだまだ暑い日が続きますが、無事3羽のヒナが巣立ちを迎えるまで「ハチゴロウの戸島湿地」スタッフの方々と一緒に見守りたいと思います。
「ハチゴロウの戸島湿地」では、双眼鏡やライブ映像で、親鳥、ヒナが暑さに耐え頑張っている様子をご覧になれます。
スタッフの楽しい解説もありますので、是非、「ハチゴロウの戸島湿地」(休場日:火曜日)へお越しください。

 

 

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