8月13日、赤石巣塔の子育ての様子を観察してきました。
ヒナは、6月28日にふ化したと推定され、今日で46日となりました。
赤石巣塔は、全国で最も遅い子育てで、他の繁殖地はすでに巣立ちしました。
豊岡市は、全国ニュースで取り上げられるほど、夏が暑いところです。
猛暑の中での子育てを心配していましたが、順調に成育しているようです。
写真は赤石巣塔でのヒナの成長の記録です。
写真ふ化後7日、ふ化後16日:コウノトリ市民レンジャー提供
暑い中、爽やかな風が吹きました。
ヒナ達は、立ち上がり羽ばたきを始めました。
なんと、体が少し浮き上がるほど力強い羽ばたきです。
親鳥は、約3時間の観察で2回ヒナへ給餌しました。
ヒナは、親鳥が巣塔に飛んでくるのがわかると盛んに鳴き待ち構えていました。
親鳥がすぐにエサを吐き出すと勢いよく食べていました。
ヒナがエサを食べているかの判断材料として、ヒナの排泄を参考にします。
観察中に2羽のヒナがある程度の量の排泄をしました。
親鳥からエサをもらっていると推察されることから、少し安心しました。
ヒナの巣立ちは、8月下旬から9月上旬と思われます。
田んぼは、稲が大きく育ち餌場として使いづらくなっています。
この日、親鳥は、田んぼの周りや畔、堤防の草地で採餌していました。
稲穂が色づいている田んぼも見られ、ヒナが巣立ちする頃には、稲刈りが始まっていると思われます。
稲刈り後の田んぼは、カエルやバッタが簡単に見つけられ、とっても良い餌場となります。
まだまだ暑いですが、無事巣立ちを迎え田んぼでエサを採る場面が見られることを願います。
【豆知識】
・野外は巣の中が見えないのにどうしてふ化がわかるの?
飼育下では、巣の中を観察するためのカメラを設置し、産卵・ふ化等は映像で確認できます。
しかし、野外は高さ12mの高所で営巣するため、巣の中を直接観察することはできません。
そのため、野外の産卵やふ化は、親鳥の行動から推定しています。
ふ化は、親鳥のエサの吐き出しと残ったエサを再び食べる行動で推定します。
親鳥は、ヒナの鳴き声やお腹の下で動くヒナの行動に刺激されエサを吐き出します。
ふ化直後のヒナは、約70g前後と小さく親鳥が吐き出したエサをぜんぶ食べられません。
そのため、親鳥はヒナが食べられなかった残ったエサを再び食べます。
足環装着は、ふ化後43日前後で装着します。
ふ化日(推定)は、足環装着の作業日を決定するための重要なデータです。
産卵日が推定できるとおおよそのふ化日が判ります。
ふ化すると思われる前後は、モニタリングを強化しふ化日の推定に努めています。