元飼育員のコウノトリブログ③ 6月4日 赤石人工巣塔で産卵!! 【豆知識】転卵
赤石人工巣塔での抱卵の様子を撮影しました。(写真①)
撮影といっても、巣の中が確認できるわけではありませんので、あくまで抱卵しているとの推定ですが。
4時間の観察でどちらか一方の親鳥が巣を離れることはありませんでした。
また、親鳥の転卵行動や伏せるときにもぞもぞしながら伏せる行動も確認できました。(写真②)
これらの行動は、卵を抱いている時(抱卵)の特徴的な行動です。
このペアは、2015年からこの巣塔で繁殖しているベテランです。
これまでに21羽を巣立たせました。
今年は4月下旬にヒナがふ化していましたが、5月上旬に両親とも巣を離れヒナが死亡したと推察されていました。
今回の産卵は2回目の産卵(第2クラッチ)となります。
コウノトリが産卵する時期は、5月中旬までのことが多いです。
今回の産卵は5月下旬と思われ、この時期での産卵は珍しいです。
これまでの最も遅い事例は、2011年百合地巣塔での6月中旬産卵、7月中旬ふ化、9月下旬巣立ちです。
これから暑い時期で親鳥は子育てが大変な時期となりますが、今度は無事に巣立ちを迎えてほしいです。
【豆知識】
●転卵
親鳥はなぜ卵を転がすの?(写真④)
これは転卵といって、卵黄や胚の卵殻膜(ゆで卵を食べた時の薄皮)の癒着を防いでいます。
また、転がすことで卵の位置が変わり、均一に温まります。
均一に温めることで卵の発育が均一になり、ふ化日の偏りが少なくなります。
大体1時間に1回程度親鳥は立ち上がり、転卵と放冷を行っています。
本能とはいえ、生きものってすごいですよね。
放冷については別の記事で書きたいと思います。