豊岡市立三江小学校の校庭には巣塔があり、2013年からコウノトリが繁殖しています。毎年、ひなは子どもたちに見守られながら成長し、巣立っていきます。今年も3羽のひなが生まれました。
ひなは孵化から1か月半程度で親鳥と変わらない大きさになります。その頃からジャンプをしながら翼をバサバサとはばたかせ、巣立つ練習を始めます。2か月が経つ頃には、ひながエサをねだっても、親鳥はそっと巣塔下の田んぼからひなを見つめるだけということが増えます。我が子の自立を促すのです。
6月12日、三江小学校の巣塔から1羽のひなが無事巣立ちました。
しばらくは、親鳥と一緒に田んぼなどでエサをとる練習をします。田んぼには生きものがたくさんいる時期なので練習にはもってこいです。個体差はありますが、数か月後にはしっかり独り立ちします。これから自然の中で、自分の力で生きていかなければなりません。しっかりエサが取れるだろうか、防獣網に絡まったりしないだろうか、色々な不安はありますが、元気に暮らしてほしいです。
例年だと、校庭で駆け回る子どもたちの声を聴き、興味深そうに子どもたちをひなが見つめる、そんな風景が見られるのですが、今年は違いました。ひなが生まれ成長していった間、子どもたちの姿は校庭にありませんでした。子どもたちもひなの成長を見れていません。それでも、もうしばらく小学校の周りでエサを食べる幼鳥をみて、「今年も無事に巣立ったんだよ」ということを子どもたちに感じてもらえたらと思います。
市内にはまだまだ成長中のひながたくさんいます。各巣塔からどんどん巣立っていきます。今年のひなたちは、大空からどんな景色を見るのでしょうか。その景色が、コウノトリにとっても、人にとっても、素晴らしいものでありますように…。
(写真提供:渡辺政)