コウノトリブログ

元飼育員のコウノトリブログ⑨                         旅する蝶「アサギマダラ」が今年も加陽水辺公園へ飛来しています! 【施設紹介】豊岡市立加陽水辺公園

「アサギマダラ」と聞いて、あの「旅する蝶(チョウ)」とわかる方も少ないのではと思います。

アサギマダラは、前翅長(まえはねの長さ)が56cmくらいの比較的大きいチョウです。

とてもきれいな翅(はね)で、写真の通り翅の一部が水色です。

名前の由来となる「アサギ」は、青緑色の古称「浅葱(あさぎ)」に由来しています。

このチョウは、「旅する蝶」として知られています。

分布は、日本各地に生息していますが、春から夏にかけて標高の高い山地ですごし、秋になると越冬のため南西諸島や台湾へ移動する「渡り蝶」です。

渡りの移動距離は、なんと1,500km以上となり、世界で2番目の長距離の移動をすることが知られています。

アサギマダラは、夏から秋にかけてはフジバカマ、ヒヨドリバナ、アザミなどのキク科植物の花によく集まり、吸蜜します。

アサギマダラ     羽を広げている               横から フジバカマの花の蜜を吸っている

 

フジバカマは、様々な環境の変化で自生種が激減し、絶滅の恐れが危ぶまれる植物として、環境省のレッドリストで「準絶滅危惧(NT)種」に指定されています。

加陽湿地周辺の出石川では、フジバカマが自生していました。

出石川の河川改修にともない、豊岡市立加陽水辺公園の敷地内にフジバカマを移植して保護しました。

現在も大切に育てているフジバカマにアサギマダラが旅の途中、しばらく滞在するようになりました。

フジバカマの群生                              フジバカマの花

 

毎年観察している加陽水辺公園の職員の話では、10月下旬には旅立つようだとのことです。

滞在もあと少しですが、是非「加陽水辺公園」へお越しください。

 

【施設紹介】豊岡市立加陽水辺公園

2015年、国土交通省がコウノトリや多様な生き物がくらせる湿地環境の再生をめざし、出石川沿いのエリアで加陽湿地を整備しました。

加陽湿地

加陽湿地|インフラツーリズム ポータルサイト-国土交通省総合政策局 (mlit.go.jp)

 

この湿地は、環境を保全し次世代に手渡していくために、国・市・地域が話し合い、今後の維持管理を含めた湿地再生の具体的な計画を策定して、除草作業など実質的な管理を地元に委託するなど、地域資源を将来に渡り活用できるよう取り組んでいます。

豊岡市では、2017年に加陽湿地の隣に、湿地(ビオトープ含む)、多目的広場、交流館などからなる「加陽水辺公園」を整備し、多くの方に自然保護活動の拠点として、また、地域のにぎわいの場として活用されています。

コウノトリ野生復帰や河川の自然再生、豊岡らしいライフスタイルデザインなど、人と自然の共生を象徴する新たな拠点として様々な方に活用いただいています。

交流館では、毎週水曜日の83011:00まで、地元産の野菜や果物が並ぶ朝市が開催されています。

販売している地元の方は「地元でとれた新鮮な野菜・果物を販売していることもあって、多くの方に利用いただいています。興味のある方は、一度お立ち寄りください」とのお話でした。

朝市の様子                           加陽水辺公園にあるビオトープは、企業のCSR活動に活用されている

 

最後にイベント情報です。

加陽湿地では、「第8回加陽湿地まつり」113日(日)に開催されます。

加陽湿地まつりは、地域の人々が湿地の自然環境に親しみ、人の手で保全していくことの意味や大切さについて理解を深めるためていただくため、2014年から始まりました。

心地よい秋の季節、加陽湿地の自然と触れ合い、お祭りを楽しみいただきますよう、多くの方のご参加をお待ちしています。

2023年の様子   吹奏楽の演奏                   餅まき

第8回 加陽湿地まつりの開催(11月3日)|豊岡市公式ウェブサイト (toyooka.lg.jp)

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